インドから陸路でパキスタンへ 毎日祭りのワーガ国境を越えた話

こんちわ、イモリです。

2023年の夏にインドとパキスタンの間で(外国人が)唯一通過できる陸路国境、ワーガ国境を越えてインドからパキスタン入りしました。なかなか変というか面白かったので記事にしたいと思います。

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なお前提として、日本人はインド、パキスタン共に入国にビザが必要です。

ビザ関連の話(注意点,裏技など)は一番最後に補足として記しておきます。

 

タージマハルがある街アグラを前日の昼過ぎに列車で出発した私は、8月30日の午前6時半ごろ、アムリトサル・ジャンクション駅に到着しました。f:id:sartan:20240208001037j:image

アムリトサルは今回越えるワーガ国境に近い都市で、シク教徒の聖地ゴールデンテンプルがあります。なので、ターバンのインド人がいっぱい見られます(ちなみにターバン巻いてるからといって全員シク教徒というわけでもないです。見た目である程度わかると思います)。

とりあえずゴールデンテンプルにオートリキシャーで向かいます。アグラやデリーと違ってウザい客引きとかは皆無です。とはいえ多少ふっかけてはくるので料金は交渉しましょう。
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途中からホコ天になるので、そこで下ろされます。ゴールデンテンプルはターバン必須なのですが、ここで10ルピーでオレンジの簡易ターバンを売ってる人が駆け寄ってきます。

タオルを頭に巻くとかでも大丈夫ですが、嵩張らないし記念になるので買って損はないと思います。ちなみに聖地なので?一切ボッてきません。

短パンとタンクトップは寺院内はNGです。

荷物と靴を預かり所で預けて裸足で入ります。

聖地なので入場料、ロッカー代無料、チップなしです。
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ゴールデンテンプル、はっきり言って良過ぎます。個人的にタージマハルより圧倒的に好き。
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ゴールデンな本体部分に参拝するために並びます。

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列に並び始めてからは写真NGで、撮ってると普通に怒られます。
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なので中の写真はありませんが、面白かったです。実際に行って確認してみてください。詳細は伏せますがまさかの生演奏でした。

参拝が終わるとヌチャっとした何かを手にベチャッとくれます。おそらく食べ物みたいなので食べました。
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味は現地で確認してみてください。衛生面気にしなければ普通においしいです。

それでは国境に向かうべくバスターミナルに向かいます。

バスターミナルの場所

滞在時間は短かったけどアムリトサルは良きインドを凝縮したみたいな街でした。みんなも有名観光地なんかよりアムリトサルとかの地方都市行こうね。

国境手前のアッタリまでは路線バスで行けます。ボルダルボルダル(インド英語でborder)連呼してれば乗り場に案内してくれます。

23番乗り場からバスが出ています。時刻表とかは多分ないですが、待ってれば多分乗れます。

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40分ぐらい待ってたらバスが来たので乗ります。
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1時間ほどでアッタリにつきます。そこからは徒歩かリキシャーで数km先の国境まで向かいます。

せっかくなのでまだ乗ったことがなかったオートじゃない人力のリキシャーに乗りました。
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国境の軍用地ゲートでリキシャーを降り、銃を持った軍人2人と雑談しながら、案内されてパスポートコントロールの建物に案内されます。

荷物も検査されますが、特別厳しくはなかったです(緩くもない)。

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出国スタンプが押されたらバスで国境線手前まで行きます。事前情報だと遊園地みたいなSL型の乗り物で行くという話でしたが、普通のバスでした。
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私が乗り込んだらすぐに出発しましたが、10人ほど現地人らしき人が灼熱の車内で暇を持て余して待っていたので、タイミングが悪いとかなり待たされると思います。

国境でも日本人の人気がすごいので、日本人だったからすぐバスが出たという可能性も感じます。

真の国境線手前まで来ました。ここら辺は毎日セレモニー(後述)もやっているので逆に余裕で撮影できる雰囲気です。

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国境に観客席があります。
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バイバイインド
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去り際にインド兵にセレモニーは何時か聞くと午後5時半とのことでした。

インド時間なので、5歩先のこれから入国するパキスタンでは5時です。

なお、後述のセレモニーは日没に合わせているため、季節ごとに時間が異なるので注意してください。まあわからなくても日没1時間半ぐらい前にくれば大丈夫です。

ここまで写真は撮れてないですが数多のインド兵との会話、記念写真に応じてきました。悪い気はしませんが非常に疲れました笑。やっとパキスタン入国です。
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パキスタン側にもインドほどではないですが観客席があります。
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ジンナーの肖像でパキスタンを感じます
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ジンナーの肖像のゲートを越えたあたりに謎の両替商がいるので、ここでインドルピーを全部パキスタンルピーに替えることをお勧めします。日本円も両替できます(なぜかパキスタンでの日本円の需要がでかいようで、日本円はどこでも非常に良いレートで両替できました)
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とりあえず兵士に誘導されてパスポートコントロールに行きます。国境審査の人日本のアニオタでした。滞在先と日数、滞在予定の街だけ聞かれて余裕で入国完了

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国境を越えたい場合、3時ごろには閉めてしまうらしいのであまり遅くならないことをおすすめします。私は午後1時ごろにインド側に到着しました。
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入国は完了したのですが、灼熱の荒野に放り出され、近くに車などは見当たりません。

水もちょうど尽きていたので、死ぬなあと思いながら(本当に最悪インドに戻ろうと思った)しばらく歩くと売店(その時は閉じてた)があるところに車が止まっていて、運ちゃんが声をかけて来ました。ラホール市街まで5000ルピーより安くはならない(ボッ!)と言われましたが、脱水で死にそうだったので乗りました。日本の物価からすればそれでも安いからと自分を納得させます。

(ちなみにちょうど2パキスタンルピー=1円です)

結果論ですが、さらに1kmほど先の検問所のあたりにチンチー(≒オートリキシャー)が溜まっていますので、そこでチンチーを拾えば700ルピーも出せばメトロ駅まで行けます。が、40°C近い気温の中、当時の状態では先も見えない中1kmも歩けないのでぼったくりタクシーに救われました。多分コネで手前まで来ていたんだと思います。

メトロの駅では男女別で結構並んでトークンを買って乗ります。インドほどではないですが、割り込みもあるので気長にかつ強気に頑張ります。運賃は端から端まで乗っても100ルピーぐらいですごく安いです。
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ちなみに後から気づきましたが、なぜか誰も使ってない自動券売機を使えば全く並ばないでトークンを買えます。ただ、5ルピー(コイン)の端数が出る区間は係員が横にいないとお釣りの問題で買えない(券売機は紙幣のみ取扱い)という謎運用です。その場合は係員がいなくてもひとつ遠くの区間まで買えば大丈夫です。差額の5ルピーは2.5円ですから、並ぶ時間考えたら払うべきです。

トークンはこんなかんじ
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ラホールのメトロは中国が建設しました。ハノイとかにあるのと全く同じです。
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車内の治安は悪くはないです。大混雑もしないので、スリも気をつけていれば大丈夫な感じです。
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メトロに乗る外国人はすごく珍しいので、乗客の視線がすごいです。頻繁にメトロの建設を感謝されます。俺日本人だけどね。

駅員は中国からの視察と思うのか、めっちゃ親切かつ優遇してくれがちです。

ちなみに、別路線でメトロバス(高架のバス専用レーン)があるのですが、そちらは非常に治安が悪いので乗らないことをお勧めします。下車した後しばらくスリの行列がついて来ました。

 

別の日、今度は毎日開催のセレモニーを見に、もう一度国境に向かいます。(インドには戻りません)

Uberを手配するのが一番楽ですが、メトロでDera Gujjran駅(終点)まで行ってチンチーに乗り換えるのが安上がりかつ早いです。

駅前に方面別でチンチーがたむろしているので、ワガボダと言うと国境方面行きのチンチーが集まっている場所を教えてくれます。流暢にWahga Borderと言ってもあまり通じません。ワガボダです。

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チンチーに30分ほど乗って国境の最初の検問所まで行き、そこからは3,4回パスポートと荷物の検査をされながら国境線の観客席のところまで1kmぐらい歩きます。

私はほぼ手ぶらで行ったのですが、周りも誰ひとりバックパックなどを持っていなかったので、セレモニーを見にいく際は最低限の荷物で行った方が良さそうです。普通に何年か前も爆弾テロあった場所ですからね。

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国境を跨いだ時はなかったクソデカ国旗がはためいている
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このあたりまで来ると爆音の音楽がきこえます。

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国境警備隊兵士と記念撮影ができます。全員デカいです。デカくないとここの兵士にはなれないそうです。
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外国人は案内された決まった列に座らされます。
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インドとパキスタンは仲が悪いことで有名ですが、ここワーガ国境ではフラッグセレモニーという国旗を下ろしてゲートを閉める際に穏便なバトル的なノリの式典もといお祭り騒ぎを毎日やっています。毎日です。

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セレモニーの詳細は現地で体感してほしいのと、YouTubeでも動画が出てくるので省きます。ツッコミどころもあって面白いです。

パキスタンにはお決まりのコール&レスポンスがあります。

"Jeve Jeve" → "Pakistan" ×n回のあと、

"Pakistan" → "Zindabad!" 

です。セレモニー中も何度もやるので、パキスタン側で観覧する場合は覚えておくとより楽しめるかと思います。
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終わった後はゲート前まで行って記念撮影できます。外国人は優遇して先に入れてくれます。

インド側にいる人と手を振ったりもできます。
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インド側の方が盛り上がっていて、交通の便もよいので、セレモニーだけ簡単に見たい場合はインド側の方が楽と思います。

が、選曲のセンスなどが全く違うのでパキスタン側もいいです。

特にセレモニーの兵士の服はパキスタン側の方が断然かっこいいです。
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パキスタン側で流れていた曲の一部が特定できたのでYouTubeのリンク置いておきます。

Hamara Pakistan (Urdu) | Shafqat Amanat Ali | Pakistan Day 2018 (ISPR Official Video) - YouTube

Jeve Pakistan ( Official Video ) | Sahir Ali Bagga | Latest Anthem Pakistan 2021 - YouTube

終わったらまた1km歩いて戻ります。適当なチンチーに乗って帰ります。
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外国人が通れるインド・パキスタン間唯一の陸路国境、ワーガ国境は毎日爆音の音楽とともにお祭りをしている変な国境でした。

通行は9時から15時の間、セレモニーは日没前に行われています。

他にはない面白さが沢山あるので非常におすすめです!(テロには気をつけて!)

今回は以上です!

 

最後に補足

ラホールの治安ですが、あまり良いとは言えません。スリや強盗がすごいので公共交通機関よりはUberでの移動がおすすめです。

こいつはラホール砦で私のスマホを強盗したのでとっ捕まえた時の写真です。

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こいつは捕まえちゃいましたが基本的には盗られたら諦めましょう。追うのは危険です。

絶対とはいえませんが、ラホールではアラブの王族のような白いワンピースを着た人たちは大体安全です。Tシャツを着た肌が汚めの人たちはめちゃくちゃスリ狙って来ます。

出歩いてる外国人という時点でめちゃくちゃ目立つ環境なので気をつけましょう。

ちなみにインド同様、日本人自体は大人気です。

 

 

 

おまけ ビザ関連

ワーガ国境を渡る場合、万が一パキスタンで入国拒否されると非常に面倒なことになる可能性があるため、インドに2回以上入国可能なビザをおすすめします。

なので一部の空港で日本人と韓国人のみ取得できる"ビザオンアライバル"はシングルビザなのでやめた方がいいと思います。

九段にある大使館でダブル以上の紙ビザを取るか、マルチのeビザを取得しましょう。

今回自分は、九段まで地下鉄ですぐのところに住んでいることもあり、安価な大使館でのビザ取得をしました。

ちなみにめちゃくちゃ面倒なので大使館まで30分圏内の人以外は大人しくeビザにすることを強くおすすめします。

eビザは5年有効のマルチビザで、初回のみ指定の空港などから入国する必要はありますが非常に良いそうです。

(個人的に大使館周辺が懐かしの場所だったので大使館での申請にしましたが、そうでなければ多分eビザにしてます。最初の入国地点が陸路国境の場合以外ではわざわざ紙ビザを取得するメリットはほぼありません。eビザでワーガを含む陸路国境での出国や、2回目以降の陸路での入国は普通に可能です。あくまで初回のみ指定の空港or海港から入国する必要があります。)

インドビザはオンラインで作成した申請書と指定サイズ(正方形)の白地の顔写真、往復の飛行機等のeチケット控えを持参して、9時半から11時半の間に大使館に1200円払って申請すると、数日後に電話が来て、以降16時から17時に受け取る形です。

インド大使館サイトのビザ関連ページ

Embassy of India Tokyo, Japan

インドビザ申請サイト

India Visa Online

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私は日程が短かいからか、信用がないのか、マルチで申請したのにダブルビザとなりました。まあダブル以上なら問題ないのでOKです。料金も同じだし。

追加情報として、

顔写真は交差点付近のヒライ商会でインドビザ用の写真といえば完璧に作ってくれるのでおすすめです。完全にたばこ屋ですが昔はカメラ屋でした。今は証明写真だけやってます。

また、ワーガ国境を超える場合は徒歩での越境のため、出国(あるいは入国)のeチケットがそもそも存在し得ないです。したがってダミーのチケットの控えを提出することになります。適当な安いバングラデシュ行きの捨てチケットを買うとか、飛行機のチケットを買うなど各自工夫してください。(裏技として、カードの限度額的に学生には厳しいかもしれませんが、JALの一番高い運賃は非常に高額だけど払い戻し手数料がかからゲフンゲフン)

学生や無職(主婦含む)単独の場合、追加で預金残高の証明書(滞在日数×1万円以上)を要求されますが、ネットバンキングのスクショのコピーでもOKという裏技があります。さすがインド。

以前は郵送でも書類に不備がなければいけたはずですが、自分には必要ない情報なのでわかりません。

なお、申請書提出後はちょうど昼時だと思うので、すぐ横の建物地下にあるムンバイというカレー屋がおすすめです。

高校時代の行きつけでした。店員も客もインド人でたまに日本語通じないけど、インド現地のカレーより断然うまくて、価格帯的には某ター○ー屋の超上位互換です。マトンがおすすめです。ちなみに学生は100円引きでラッシーも無料でつきますが、案内は一切ないので自発的に主張しないとダメです。インドですから。

 

パキスタンビザは全てeビザで、観光ビザは基本的にシングルのみとなっています。ダブル以上の申請自体はできますが、最近は99%通らないと思います。その他暗黙の了解みたいなのはありますが、そこに気をつければ必要事項を全て入力して数時間で承認されました。仕事が早いぞパキスタン

正直にワーガ国境から入国としても大丈夫です。(アフガンはダメです)

写真サイズはインドと違って適当で大丈夫でした(一応指定はあります)。

あとは発給されたビザをA4に印刷して持っていけばOKです。

パキスタンビザ申請サイト

Pakistan Online Visa System - Government of Pakistan

大体30日下りるそうですが、私はこれまた信用がないのか15日ビザでした。別にいいけど。