こんちわ、イモリです。
突然だがアルバニアという国を知っているだろうか。
イタリアのすぐ対岸だが、日本での知名度は高くないように思う。
そして、その国の鉄道はヨーロッパの他の国の鉄道と比べてかかり異質である
遡ること6年、当時旅行の予定もないのにヨーロッパ鉄道時刻表を買ってページをめくっていた。
ヨーロッパ鉄道時刻表は国ごとに列車の時刻がまとめられているのだが、その中に1か国だけ、明らかに異様な国があった。
その国の鉄道路線だけは他国の線路と(路線図上)一切接続しておらず、時刻表の欄も2路線3往復(当時)のみでスッカスカだったのだ。
その国こそアルバニアであった。
ネットで検索すると首都のティラナからの路線(現在は廃線)に乗った方の記事があり、荒れ放題の客車の写真に衝撃を受けた。
いつか機会があれば乗ってみたいと頭の片隅にあったが、遂に今年2023年9月、念願叶い?乗ることができた。
9月16日土曜日昼過ぎ、私はモンテネグロの首都ポドゴリツァからのバスを、アルバニアの首都ティラナの国際バスターミナルで降りた。
アルバニア鉄道の始発駅があるエルバサン行きのバスに乗り継ぎたいのだが、ティラナのバスターミナルは現在、面倒にも3か所に分かれている。
一つは今いる国際バスターミナル、2つ目が南&北方面バスターミナル、3つ目が南東方面バスターミナル
エルバサン行きのバスは、市街中心部を挟んで4kmほどの南東方面バスターミナルから出ているのでそちらに向かう。
ティラナ南東方面バスターミナル
かつての独裁者ホッジャのピラミッドや博物館、スカンデルベグ広場など、ティラナの見るべきものは大体途中に立ち寄れるので、国際バスで到着した場合は歩いて向かうのがおすすめだ。
長らく廃墟だったホッジャのピラミッドはちょうど5月に改修を終え、イベントスペース兼展望台のようになっていた
観光しつつ、グーグルマップを頼りに南東方面バスターミナルに着き、ちょうど停まっていたバスの運転手にElbasan?とたずねると、乗れというジェスチャーをしたので乗り込む。日本でいう高速バス仕様の大型バスだ。
ちなみにこのターミナルはエルバサン行きのバスが最も頻発しているため、運が悪くなければ簡単にバスは見つかると思う。
出発前に運転手が運賃を前から順に回収しはじめる。
運転手に直接聞いたり、とりあえず高額紙幣を渡すと大体ボラれるので、隣の席の客にいくらか聞く。
事前情報では200レクだったが、実際には250レクだった。例に漏れず物価上昇している。
ちなみに大体100レク=150円
1時間ほどでエルバサンに到着した。
エルバサンのティラナ行きバスターミナルは結構わかりづらい場所で、他の路線とは異なる位置にあるため、自分とは逆の列車に乗ったあとティラナに向かう場合などは要注意だ。
明日のエルバサン発の列車は午前6時なので、今日のうちに駅まで下見に向かう。
地元住民からの視線を感じながら細い道を抜けると、だだっ広い構内に落書きされまくった元ドイツ鉄道の赤い客車が留置されていた。
6年前にネットで見た車両と同じかそれ以上に荒れた客車を目の前にし、感慨に耽る…間も無く、構内でサッカーをしていた子どもたちに取り囲まれる。
首都ティラナでは中国人を結構見かけたが、エルバサンではアジア人が相当珍しいのだろう。
何人かはマネーマネーと言ってくる。アジアの貧困国の物乞いほどガチの感じではなかったが、スリをしてくる可能性も高いので一気に警戒モードに。写真も結局1枚しか撮れなかった。
程々にフレンドリーに接して上手く逃げようと画策していると、近くで見ていた大人の一人が近づいてきてイタリア語で話しかけてきた。
アルバニアはイタリアのアドリア海をはさんだ対岸であり、イタリア語も話せる人は結構いる。
自分のイタリア語は片言なのでほとんど何を言ってるかわからず困っていると、英語を話す他の大人が来てくれた。
列車に乗りにきたと伝えるといろいろ話してくれた。
その人によると、これはトレインじゃなくてパートタイム・トレイン(後に全く冗談ではないことがわかる)で、土日だけ走る。朝6時に出発するから乗りたければ明日5時半に駅に来ればいいとのこと。
補足だが、2023年現在のアルバニア鉄道は限界まで衰退している。路線はエルバサンから港町ドゥラスまでを結ぶ約70kmの1路線のみが残存、毎週金土日に1日1往復ずつ、週3往復のみの運行となっている。なお地元の人たち複数人に聞いたところ、土日だけしか走らないと口をそろえるので、金曜日はもしかしたら走っていないかもしれない。
時刻表はGoogle検索しても出てこないが、アルバニア鉄道のFacebookまたはInstagramの投稿から見られる。
話が戻るが依然としてスリ予備軍の子どもたちに囲まれている。
そのうちの一人がダンスバトルを仕掛けてきたのでこちらも応戦して、そこそこ盛り上がったところで上手くその場を抜けることに成功した。
駅や市街地からかなり離れた安宿を取っていた(これは後にいくつかの危険の原因となった)ので、城壁の横などを歩きながら向かう。
この街の子ども達はこちらを見るとすぐにキナ(中国の意味)キナ、マネーマネー言ってくる。
安宿にチェックインし、近くの商店に夕飯と酒を買いに行こうと宿の鉄扉を開けると、いかにもなガキ大将とその手下たちという集団が目の前にいた。
例に漏れずマネーマネー言ってくるのだが、余りにしつこかったので強めに追い払うと、一斉に石を拾い、投げつけようとしてきた。
怯まず、石投げたらヤバそうな雰囲気を放ちながら歩き続けると奴らは立ち去っていった
商店から戻るとさっきのガキ大将達がまだいた。無視して宿の鉄扉の鍵を開けようとしていると、取り囲んで鍵を強奪しようとしたり、You stupidなど言ってきたので、こちらも淡々と日本語でバカアホ言い返しながら宿に入った。宿に入ってしまえばこっちのものである。
一番よく見かけたビール。割と新しいブランドらしい。
宿から駅までは約5kmの距離で、歩いて1時間程だ。言われた通り5時半に着くには4時半に宿を発つ必要がある。
朝4時にアラームをセットして、早めに就寝した。
本編に続く